相続業務
遺言がないときはまず相続人の調査、確定をすることが必要です。
債務が多い場合などは、限定承認や相続放棄することができます。
協議がまとまったら遺産分割協議書を作成します。
遺言があるときは家庭裁判所に遺言書の検認を請求します。
ただし公正証書遺言は検認の必要はありません。
遺言書に遺言執行者の指定がされていた場合にはその人が承諾するかどうか確認します。
遺言執行者が拒否した場合や遺言書に遺言執行者が選任されていないときは、遺言のとおりに遺産を分割するために遺言執行者を選任します。
遺言の内容が遺留分を侵害している場合は、遺留分権利者である相続人は遺留分減殺請求ができます。
相続の流れ
相続とはある方が亡くなった場合に、その亡くなった方の財産、権利、義務などの全てが相続人に引き継がれるということです。
その為、土地や建物、預貯金等のプラスの財産だけではなく、家のローンや借金等のマイナスの財産も引き継がれてしまいます。
被相続人(亡くなった方)がなくなってから、相続財産を分割し、分割した財産の名義変更までの流れです。
①被相続人が亡くなる ⇒ 市町村長に死亡届提出(死亡から7日以内)
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②遺言書の有無の確認 自筆証書の場合は家庭裁判所で検認必要
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③相続人を確定 相続関係説明図作成
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④限定承認・相続放棄の手続 死亡を知ってから3ヶ月以内
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⑤遺産分割協議 遺産分割協議書作成
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⑥ 遺産の分配・名義変更 不動産の所有権移転・預貯金の名義変更等
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⑦相続税の申告・納付 税務署に申告(10ヶ月以内)
相続・放棄
相続の承認や限定承認・放棄は相続の開始があったことを知ったときから、3ヶ月以内にするのが原則です。相続(放棄)しないこともできます。
単純承認
相続人が被相続人の権利義務(財産や借金など)をすべて引き継ぐ場合をいいます。
相続が発生した場合、相続人は相続開始の時から、被相続人の財産に属したすべての権利義務を承継することになります。
ここで、相続放棄または、限定承認の手続きをしないと、「自己のために相続が開始したことを知った時から3か月」を経過した場合には、相続人は、自動的に単純承認したものとみなされます。
ただし、3か月が経過しなくても、次のような場合には単純承認したものとみなされます。
1、相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき
2、相続人が限定承認または放棄をした後で相続財産の全部若しくは一部を隠したり、またはわざと財産目録に記載しなかったとき
限定承認
被相続人の財産に借金などがあるときに、相続財産の限度で支払う責任を負うという相続の仕方で、相続開始を知ってから3ヶ月以内に、共同相続人の全員が一致して、家庭裁判所に限定承認の申述をする必要があります。
限定承認は被相続人の債務を取得した相続財産の限度で支払うことを条件として相続する方法です。限定承認をすれば、債務超過の場合には取得した相続財産の限度で債務を返済すればよいことになり、自分の財産を返済に充てる必要はありません。限定承認は、財産と債務の額のどちらが多いか当初不明の場合に有利な方法です。限定承認をしようとする場合に相続人が何人かいるときは、共同相続人の全員が一緒にこれをしなければなりません。
したがって、相続人の中で限定承認を「する者」と「しない者」がいる場合に債務の引継ぎを避けたいときは、その避けたい人だけが相続放棄をすることになります。
相続放棄
被相続人の借金などのマイナスの財産が大きいときや、他の相続人の相続分を増やすために相続を拒否することができます。、家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。
相続放棄は、相続人が相続権を放棄する方法です。したがって、相続放棄をした場合には、その相続に関しては初めから相続人でなかったものとみなされます。このため放棄した者の子等は、その相続に関しては代襲相続することができません。また、相続人の1人が放棄をすると相続分の変更が起こります。
相続の放棄は「相続が開始」してから家庭裁判所に申述し、家庭裁判所で受理されてはじめて効力が生じることになります。したがって、相続開始前に放棄する旨の書面を作成しても無効となります。
相続人の確定
相続人間で遺産分割をするためには、まず、相続人を確定する必要があります。
被相続人に子どもがいない場合や非嫡出子、養子などが相続人になる場合は相続人の確定作業が大変なこともあります。
相続人の漏れがないように被相続人の生まれてから死亡するまでの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本等をすべてとりよせることになります。
相続人がだれとだれなのかを調査、証明するためです。
すべての戸籍を途切れないようにするためには、それぞれの戸籍の編成年月日、被相続人がその戸籍に入籍や除籍した年月日を調査する必要があります。
相続人の確認のため相続人全員の戸籍謄本、住民票の写しが必要です。
戸籍は本籍地のある市区町村役場へ請求します。
改正原戸籍・除籍謄本・改正原戸籍
法令等の改正によって戸籍の様式や編製基準が変更された場合に作り変えられた元の戸籍です。
戸籍は、法令に基づいて新戸籍を編成する場合にはその時点で在籍する者だけを記載するため、その戸籍からすでに除籍された者は新戸籍には記載されません。
除籍謄本とは
戸籍に記載されている人が全員死亡したり、婚姻などにより別の戸籍に移った場合にその戸籍を戸籍簿から外して、別につづったものが除籍謄本です。
除籍謄本は、その当時の本籍地の市区町村役場に請求します。
戸籍を請求できるのは
戸籍に記載されている者またはその配偶者、直系尊属、直系卑属に限られます。
ただし、国または地方公共団体の職員等が職務上請求する場合、弁護士、司法書士、、行政書士、税理士等が職務上請求する場合は戸籍の請求が可能です。
戸籍の請求のしかた
市区町村役場の窓口で直接請求するか、郵送で定額小為替で手数料を添えて請求する方法があります。
相続財産の調査
相続財産を分割するためには、まずその対象になる財産を調べて財産リストを作成する必要があります。
不動産については登記簿謄本、登記事項証明書、固定資産税名寄台帳、固定資産税評価証明書、貸借契約書などを調べます。
預貯金についてはその通帳名義、銀行名、口座番号等を把握し残高証明をとります。生命保険等に加入していれば、証券番号、受取人、契約内容、保険金額等を整理し、株券、などの有価証券がないかどうか調べる。権利だけでなく義務も相続の対象になりますので、借入金などがないか調べます。