相続人の調査・確定
相続が開始されると、相続財産は相続人全員の共有の財産になり、遺産分けをするときには相続人全員の同意が必要になります。
このとき、相続人が誰になるのかということは相続人自身で調査し、確定する必要があります。これは相続手続きの第一歩であり、今後の全ての手続きに影響する非常に重要なことです。
もし相続人の調査をしなかったり、自分なりに調査をしたものの漏れなどがあって本来の相続人が全員揃っていない状態で遺産分けの協議をしてしまうと、協議がまとまったとしても、その協議は法的に無効になります。
相続人の調査・確定を自分でやってみて分からない場合や判断できない場合は、専門家に相談することをお勧めします。
相続人の調査・確定の方法
相続人の調査・確定は、被相続人の死亡から出生までの戸籍類を全て集め、そこに書かれている内容を見て誰が相続人になるのか判断します。
具体的な方法としては次の手順で行います。
- 被相続人の最新の戸籍(死亡が書かれている戸籍)を取る
- 戸籍に書かれた内容を見て、取った戸籍より古い戸籍があるときはその戸籍を取り、被相続人が出生した記載がある戸籍が出てくるまで遡って集める
- 集めた全ての戸籍を見て、誰が相続人になるのか確定する
これだけではイメージがしにくいと思うので、具体例を一つあげましょう。
事例のとおり、生まれてくると最初に親の戸籍に入ります。つまり、出生までの戸籍ということは、親が筆頭者となっている戸籍までたどり着かなければいけません。
最終的に集める戸籍の数は被相続人によって違いますが、通常で5通程度、多い場合だと10通を超える場合もあります。また、何カ所の役場から取り寄せるかについても、本籍地を移していなければ一カ所で済みますが、転勤等で本籍地を移している場合はその分だけ多くなります。
戸籍の種類
一言で戸籍といっても、実際にはいくつかの種類があり、相続人の調査で取ることになるのは主に次の3つになります。
- 戸籍
名前や住所、性別、生年月日などの身分関係が記載されている公文章。戸籍は夫婦とその子供で1つの戸籍が作成される。現在の戸籍はコンピュータ化されているので、字が読みやすい。 - 除籍
戸籍に記載されている人の全員が死亡や結婚、本籍地の移転(転籍)などによって、本籍地に誰もいなくなった戸籍のこと。古いものは小さな文字で手書きされている。 - 改正原戸籍
戸籍は法律の改正で全国的に様式などが代わることがあり、新しい戸籍に代わるまで使われていた古い戸籍のこと。
ちなみに「謄本」と「抄本」の違いは次のとおりです。
- 謄本 … 戸籍等に掲載されている人全員の情報が記載されたもの
- 抄本 … 戸籍等に掲載されている人のうち、一部の人だけが記載されたもの
相続手続きでは、被相続人の親族関係を調べる必要があるため、通常は謄本を取ります。
戸籍類で古いものには、今では存在しない地名(市町村合併などにより消滅した地名)が出てきます。その場合でも、古い戸籍を保管している役所を自分で探し出し、出生の事実が書かれている戸籍にたどり着くまで集めなければいけません。
相続人関係図の作成
相続人関係図とは、字のとおり相続人の関係を図で表したもので、必ず作成しなければいけない、というものではありません。
とはいえ、相続人関係図は相続人の調査で集めた戸籍をもとに作成するので、戸籍の内容を整理することができ、戸籍の見落としや予期していなかった相続人の有無の確認をすることにもつながります。
相続人関係図を作成しておけば、金融機関等で相続手続きを行うときに相続人の状況を説明するときに役立ち、不動産の名義変更などでは法務局が戸籍と照らし合わせて確認を行い、間違いがなければ戸籍の原本を還付してもらうことができます。
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